研究の話聞き取る力 鍛える

聞き取る力を鍛えるには — 脳は何歳からでも学び直せる

耳は音を集めますが、意味をわかるのは脳です。聞こえにくくなったあとや、新しい補聴器・人工内耳をつけたあとは、脳がその仕事を学び直す時間が必要になることがあります。うれしいのは、脳は何歳からでも学び直せることです。やり方も、難しくありません。

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わかるのは耳ではなく、脳

音が意味になるのは、脳の中です。聞こえにくさで脳に届く信号が変わったり、新しい機器でまた変わったりすると、これまでのパターンが合わなくなります。音量は合っているのに、話し声がこもって聞こえたり、きつく聞こえたり、なんだか変に感じたりするのはこのためです。

脳は、新しい信号を使うことで慣れていきます。研究ではこの性質を「可塑性(かそせい)」と呼びますが、年齢で消えるものではありません。年を重ねた人も、若い人と同じやり方で聞き取りを学び直せます。注意を向けて、くり返すことです。

何が聞き取りを鍛えるのか

かなめは答え合わせです。聞いて、何と聞こえたかを選んで、合っていたかを確かめる。この流れが、どのパターンを残し、どこを直せばいいかを脳に教えます。

ラジオを一日中つけておくだけでは、数分の集中した練習ほど鍛えられないのは、このためです。聞き流しは脳を音にふれさせ続けるだけですが、答え合わせのある練習は、どこを直せばいいかまで教えてくれます。

聞き流すのではなく、課題を持って聞く

答えてから、正解を確かめる

正答率が高くなってから、難しさを上げる

今日から始められる手順

静かな状態で、一つのはっきりした声から始めます。似た言葉の聞き分けや、短い文を追う練習をして、そのつど答えを確かめます。一回の練習は、「明日もやってもいいな」と思える短さにしておきましょう。

静かな状態での聞き取りに手ごたえが出てきたら、同じ課題のまま、背景の雑音を少しだけ足します。雑音の中で聞くのはそれ自体が一つの力で、暮らしでいちばん役に立つ力でもあります。レストラン、家族の食卓、車の中がそうです。

いつ、どんな変化を期待できるか

ある日突然変わるのではなく、小さな前進が積み重なっていくのがふつうです。ほとんどの日に練習して、2〜4週間は続けてから判断してください。進んでいるしるしは、暮らしの中にあります。前より楽だった会話や、聞き返さずにつかめた言葉、といったことです。

研究の裏づけもあります。聞き慣れた声を使った練習で聞き取りが最大20パーセントよくなったという研究があり(Holmes & Johnsrude, 2021)、答え合わせのある聞き取り練習の効果は、いろいろな機器を使う人たちで確かめられています。

機器の役割

補聴器と人工内耳は土台です。脳が働くために必要な音を、届けてくれます。毎日つけて、調整してくれるお店や病院で設定を合わせ続けてください。

聞き取りの練習は、その上に重ねる層です。機器が信号を運び入れ、練習がその使い方を脳に教えます。

よくある質問

聞き取る力は、本当に鍛え直せますか?

はい。言葉をわかるのは脳の力で、脳は一生変わり続けられます。答え合わせのある練習をこまめに続けると、特に雑音の中のような難しい場面で、言葉を聞き取る力が上がっていきます。

聞き取る力を鍛えるには、何をすればいいですか?

課題と答え合わせのある聞き方で練習します。言葉や短い文を聞いて、何と聞こえたかを選び、正解を確かめる。静かな状態で一つのはっきりした声から始めて、短い練習をこまめに続け、正答率が上がったら背景の雑音を足していきます。

年を取っていても、聞き取りの練習は間に合いますか?

はい。脳は何歳になっても鍛えられます。年を重ねた人も、若い人と同じやり方で聞き取りの力を育てられます。短い練習を、注意を向けてくり返すことです。年齢よりも、続けることのほうがずっと大事です。

テレビやラジオを聞き流すだけでも、鍛えられますか?

脳を音にふれさせ続ける意味はありますが、それだけでは進みがゆっくりです。答えて、合っていたかを確かめる練習のほうが、脳が調整に使える手がかりを多く与えてくれます。

効果を感じるまで、どれくらいかかりますか?

ほとんどの日に練習して、2〜4週間は続けてから判断してください。変化は少しずつ積み重なるもので、雑音の多い場面から先に変化に気づく人が多いです。

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SoundStepsは、聞き取りのトレーニングと練習のためのアプリです。病気の診断・治療・予防を目的とするものではありません。医療に関することは、専門の医療者にご相談ください。